地元の消防学校で20年以上、水上安全の指導をさせていただいております。
毎回思いますが、小中高もしくはプライベートで泳ぐ機会が圧倒的に少なくなっている。
泳ぐことが苦手な人は、プールの授業が無い学校を選んで進学している。
そのような中で、人生の大半を占める仕事として消防業務を選択。
そこで初めて避けてきた水泳と真剣に向き合うことになるのです。
講義の時間は限られていますし、学校によっては全員泳げるという前提で授業を進めますので
仕方ないのはわかりますが、不安が何も解消されないまま現場に出ることも有りうるのです。
島国である日本で、津波の被害が多い日本で、近年は特に水害が多い日本で、水から逃れる
ことはほぼ不可能だと思います。
私は決して全員が競泳選手のように泳げることを目指しているのではありません。
生き延びるため、水と共存するためのサバイバルスイミングを体得してほしいのです。
7月中旬から下旬(今週いっぱい)まで毎日のように屋外プールで学生と共にいますが、
泳げる人と苦手な人の差が、どんどん二極化して広がっていることを実感しています。
32年ぐらい前になりますが、私が現場で初出場だった災害の種類は「救助(水難)」でした。
今でもはっきり覚えていますが、警察や近隣住民が見守る中で命綱を着け、川へ入水し
橋脚にしがみついている要救助者にヘッドアップクロールで近づき、声掛けをした後に
無事救助できた事案があります。
あの時もし泳げなかったら…と考えると今でも恐ろしくなりますし、部隊の中で若手は
自分だけだったので、断るとベテランが代わりに…
我々は常備消防ですから、備えの中にサバイバルスイミングは含まれていると思います。
今年の夏も全国各地で水難事故が発生していますが、小中高教育(できれば幼児から)
の中で生き延びるため、水と共存するためのサバイバルスイミングを救助者のためにも、
要救助者のためにも確実に体得する機会を作っていかないといけない危機感を感じながら
現場に立っています。
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